ONE DAY AT A TIME
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睦月、参拾日
間の問題は重要です。間合いがとれずに自滅することがよくあるわけですから。相手と自分の距離感をどう保つか。魔がさす場合もあれば、間にあわない場合もあり、間尺に合わない不条理に泣くこともあります。建築もまた、間合いの勝負になります。設計も、仕事の段取りも、お客様との打ち合わせも、すべてがこの「魔」いえ、「間」にかかってくるわけです。間取りということばも、実に深い意味があるのですね。

睦月、二十九日
昨日、一昨日とニ夜つづけてヒッチコック監督関連の映画を楽しみました。ひとつは「ダイヤルMを廻せ」のリメイク版「ダイヤルM 」。もうひとつはご存知、傑作「鳥」。リメイク版の「M 」はさすがにこの時代、ダイヤルはもう廻さないのです、プッシュ式ですから。昔の映画のダイヤルを廻すというこの間が、昨今の映画からは失われてしまいました。映画のみに限らず、私たちが喪失した間は実は例えようもなく大きいことを「鳥」が教えてくれます。登場人物たちは恐ろしい鳥の襲撃にも誰ひとりとして大声をあげません。息もつかせぬその展開の背景には、音楽さえもないのです。鳥のさえずり以外には。

睦月、二十五日
快晴。今年の運勢はとてもよいのですが、信じるも八卦、信じないも八卦。そうなると、これは信じるしかありません。よい事は何でも信じて、悪いことはそっと忘れる。そういえば、8年連続で百貨店の売り上げが落ちているとか。これを百貨店の時代の終わりとみるか、たんなる一時的現象とみるかで景況の判断も分かれ目です。町を車で走っていると注文住宅の建築は少ないのですが、建売住宅の建設の槌音は高く、大工よ、屋根の梁をたかくあげよ!と、これはこれで希望の光とみるべきでしょうね。

睦月、二十三日
岐阜県白川村、「白川郷」の合掌造りの村落で夜間のライトアップが始まったとか。雪の中で幻想的に浮かび上がるわらぶき屋根の家々に思いをはせるだけでなんだかボンボワイアージュ。文化とは時間の堆積である、とは誰かさんが言ったとか言わないとか。今日は朝から寒いですね。

睦月、二十二日
昨晩は不動産登記法の改正についての勉強会に行ってきました。法務局が電脳の世界に生まれ変り、登記はオンライン化して権利証は消えてなくなり、識別番号が付与される、というお話。便利になると同時に戸惑う方も多いことでしょう。建築の世界はどうでしょうか?建築は不動産の世界ほど電脳化には向いていないようです。いっぽうでIT化が叫ばれ、建築はますます時代と乖離(かいり)する。人はそこに安らぎを求めるということでしょうか。

睦月、弐十一日
昨日は定休日でしたが、広告のデザインの件で打ち合わせ。その後、久しぶりに映画でもみようと町へ出たのですが時刻を間違えて始まったばかり、二時間待つのはつらいのでけっきょくショッピングでお茶をにごしてしまいました。妻とふたりでぶらぶらしていると普段は気にかけない流行や、若い人たちの着こなしに感心している場合じゃアないぞと、なんだか励まされるような気がしてちょっと元気になりました。

睦月、十八日
年明け早々忙しい毎日。明日あさっては定休日です。そろそろホームページも一新したいのですがなかなか時間がありません。しかし、プロの作るページはさすがに流石。シンプルに美しく個性を主張しているウェブサイトは見ているこちらもうっとりとしてしまいます。何ごとも奥が深いものですね。

睦月、十七日
早いもので阪神大震災から今日で十年。あの一報は新宿の西口でビルの壁に写し出された実況放送の大画面で始めて知りました。被害の状況はまだよく分らなかったのですが、ただなんとはなし、大変な事態が発生している予感がしたのは覚えています。あれから十年と思うとなにやら大きな感慨があります。週末の土日、きびしい冷え込みに震えあがった二日間でしたが今日は快晴。よいことがあるといいですね。

睦月、十五日
今日は成人式、というのは一昔前のお話。十月十日は体育の日、とおなじですね。今日は小正月。女正月ともいうそうですが、いかにも正月が大事な行事であったかが分るようでいいものです。太陰暦では今年は二月九日がお正月です。1月の末が旧正月だとばかり思い込んでいましたが、陰暦の暦は毎年変わるものだとは今日の今まで知りませんでした。旧正月といえばテト。ベトナム戦争のテト攻勢といえば歴史の分岐点。これもまた、古い話、かな?

睦月、拾壱日
仕事全開モード。コモハウス、フルスロットル!ま、ちょっと忙しいと大げさな表現になってしまうのはコモハウスの持ち味です。(笑い)正月明けとおもったら、いきなり三連休という方々は、今日がほんとうの松のうち明け。今年もよろしくお願いいたします。津久井の海岸のあちこちに、どんと焼のはしらが立って、さあ、さあ、さあ。冬の風物詩。今日が本番です。

睦月、十日
仕事始めの昨日はおだやかな一日。なのに世界は穏やかではないという事実。私たちの世界はどこでなにを間違えてしまったのか?そうだ、私たちにできることをしよう。それはたぶん小さなことだと思う。小さくてとりとめのない、肩幅にも満たないちいさな一歩に過ぎないことから始めて、いつか、かけがえのないものに近付くことができるかもしれない。そんな仕事をしたいと心に誓う新年の仕事始めでした。

睦月、九日
七草も過ぎ、お屠蘇気分は年々遠くへいくばかり。今年は鎌倉の鶴丘八幡宮へ初詣、評判の N でそばをくらい、またまた評判のミルクホールでコーヒーをのむ。今年は酉年。「農夫は土地を耕すことによって、すこしづつ、自然からある秘密を奪い取っていく、」仕事をつづけることで明かになる普遍的な真実があるのなら、コモハウスもまた、秘密を明かにできる時がくるでしょう、か?

睦月、七日
ゆっくり休みを取らせてもらっているのですが、因果なもので、そろそろ仕事がしたいモードにはいってきました。「あなたはワーカーホリック!」情けないのですが、休みもニ週間近く続くとはじめて仕事が忘れられるものですが、1週間では頭の隅に仕事の影がちらつくようです。

睦月、六日
暮れのスマトラ沖地震では未曾有の大災害に言葉もなく、被害にあわれたかたがたの一刻も早い回復を祈るばかりです。
さて、コモハウス。今年こそは、と、毎年懲りることなく誓いを新たにするのですが、さてさて、波乱の幕開けを予感させる2005年、どうなることやら?
「わたしたちの家も、おそらく、すこしづつ人間的なものになってゆくだろう」

 サン=テクジュペリ 「人間の大地」


comohouse平成十七年